(第13章)生物多様性と生態系サービスの保護
I. 生物多様性とは
- Ecosystem services (生態系サービス) affect human wellbeing:
- 供給サービス:水や食料、木材など建造物や衣服、燃料などが、生態系から得られる
- 調整サービス:通常の気候、感染症拡大、水・窒素・ 酸素などの養分循環を調整する
- 基盤サービス:水・養分の循環と土壌形成(昆虫や微生物が土壌を作る)
- 文化的サービス:人間の価値・美学・宗教の向上
- 「保全サービス(preserving services)」もあるようですが、教科書では出てきません。これは、1〜4の議論がMillennium Ecosystem Assessment (2005)から来ているためでしょう。
生態系サービスとウェルビーイングの関係は、図13.1 (p.450)参照。または、次のPDF (p.v)を。
II. 危機にある生物多様性
「生態系サービス」という用語を取り巻く状況は、一途な環境保全とビジネスチャンスとしての動きが見られるわけですが、1980年代とは異なり2000年にはグリーン経済やグリーン技術などで後者が正統性を高めました。これは、教育界における教育をサービス供給として捉える動きと同様で、世界のトレンドということができるでしょう。
III. 海洋水産
- 養殖自体が、様々な形で環境を脅かすことになっている。管理された養魚場での養殖は、病気の蔓延、様々な種類の栄養分の過剰な流れ、魚が外に逃げ出した場合の野生魚の個体数へ脅威となる可能性がある。責任を持って運営されれば、養殖は非常に望ましいが、うまくいかないこともあるため複雑な課題(p.461)。
IV. 森林破壊
- James Lovelockは、世界の生態系の相互接続性と、惑星規模での生態系の制御プロセスについてのガイア理論の生みの親。彼は、ある生態系を破壊すると、地球の他部分の生態系の機能を阻害・弱体化させると主張する。熱帯雨林の森林破壊について次のように述べる。「もはや、病気を治す薬を持った植物があるかもしれないという弱々しい理由でもって、熱帯雨林の存在を正当化する必要はない。熱帯雨林が農地に置き換わることで、地球規模の災害をより引き起こす可能性がある (Lovelock 1991: 14)」。
The Vanishing Face of Gaia: A Final Warning (English Edition)
- 作者: James Lovelock
- 出版社/メーカー: Basic Books
- 発売日: 2009/04/14
- メディア: Kindle版
ガイア理論は、地球を自己調節能力を持ったひとつの生命体(有機体)であるとみなす説。イギリスの科学者(生物物理学、医学)であるジェームズ・ラブロック(1919-)によって提唱された概念で((財)環境イノベーション情報機構)、私自身も地球全体としては常に持続可能であり続け、たまたま今、人類という種が勝手に危機感を持っていて滅亡することも地球スケールではそれほど重要な課題ではないと思うことがあります(なので、地球温暖化が〜と危機感を煽るプレゼンテーションには全面的な賛同はしない)。
↑こちらの原書『The Earth and I』、さっそく注文してみました。絵本というアプローチが素晴らしいです。
V. 国際協力International Dynamics
- リオ地球サミットでの多国間環境協定3つは、20年後のリオ+20サミットで見直された。その時の『ネイチャー』誌は、各条約下で何が起きているのかを詳細に分析し、それぞれレポートカードを作成。