丸山の講義補助

Contents for Higher Education for Sustainable Development

UENSCO(1996)が示した21世紀の学習から

UNESCO (1996). "Learning: the treasure within" (PDFはこちら、通称「ドロール報告書」)では、「学習の4本柱」が示され、今でも重要なメッセージを伝えています。「21世紀教育国際委員会」と銘打たれたチームが出した報告書ですから、当然かもしれません。

聖心女子大学の澤野由紀子先生*によると、ユネスコの生涯教育論の「教育が寄って立つべき4本柱」として説明されてますので、つまみ食いしてみます。

  1. 「知ることを学ぶ」(Learning to know;知識の獲得の手段そのものを習得すること)
  2. 「為すことを学ぶ」(Learning to do;専門化した職業教育ではなく、様々な実用的能力を身につけること)
  3. 「(他者と)共に生きることを学ぶ」(Learning to live together, Learning to live with others;他者を発見、理解し、共通目標のための共同作業に取り組むこと)
  4. 「人間として生きることを学ぶ」(Learning to be;個人の全き完成を目指すこと)

なお、4本目の柱の「人間として生きることを学ぶ」は、UNESCO(1972)"Learning to be"(PDFはこちら、通称「フォール報告書」)の”Learning to be”に対する天城勲先生らの訳語とのこと。

私の講義では、learning to beが学習の最終ゴールだと伝えています。さらに、「5本目の柱として"learning to transform oneself and the society"が、Education for Sustainable Development (ESD)の議論ではなされており、自分だけで学習が完結するわけではない」とも。ESDとSDの議論では「SDコンパス」を私は示してもいます。東西南北(NSWE)は、Nature, Society, Who, Economyを指す「コンパス」によって、Who?が21世紀には重要と。この議論はUNESCO文書でも確認できます(ワードなので注意)。

*目黒時代は研究室がお隣。いつも笑顔でご挨拶いただき、何度も救っていただきました。というのは、当時のパソコンが非力で、某国際調査で使用するファイルが完成直前(負荷最大)になって、パソコンが落ちてはやり直し&私はデスクを叩いては悔しがってたのですが、不憫に思われてのか、お茶にお誘いいただいたり。彼女が「大学に転職します」と私を呼び出して伝えてくれた時、少なからずショックを受けました(笑)。

その後、ドロール報告書の再検討なども出されています。例えば、Tawil, Sobhi** & Cougoureux, Marie (2013)."Revisiting Learning: the treasure within; assessing the influence of the 1996 Delors Report"など。

**同世代のSobhiさんは、初めての来日の時、目黒時代の私の研究室で「東京での勤務って忙しい」なんて笑いながら一緒に仕事しました。

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関連して、リテラシーとノンフォーマル教育については、こちらで整理しています: